不正加担取引が発覚した場合の税務処理について ~不正加担取引が発生した時の問題点 ~ Part.2

Part.2 通常の場合の不正加担取引の税務上の仕訳と処理について

上記のような不正加担取引があった場合に皆さんは、会社側がどのような経理処理を行って、税務上どのような取り扱いになるか分かるでしょうか?
話の内容が進んで行く前に基本的な処理の概要を説明しておきましょう。

⑴ 全額キックバック方式

次のように、正当な工事売上1,080円に上乗せ分540円を含めた1,620円(1080円+540円=1,620円)を工事売上げとして計上して、上乗せ分の工事売上540円と同額の540円を外注費として計上するとともに、540円を預金から引き出して不正依頼してきた会社の社長に持参し、540円全額を不正依頼してきた会社の社長にキックバックした時の『帳簿上の仕訳』は、①と②のとおりとなります。

【前提となる収入及び支出】
ア. 正当な工事売上  :「1,080円」
イ. 水増し分工事売上 : 「 540円」
ウ. 架空(嘘)の外注費: 「 540円」
   内 キックバック分: 「 540円」
   内 不正加担料分 : 「  0円」
エ. 不正加担料収入  : 「  0円」

① 上乗せ分を含んだ売上げ代金が振込送金されてきた時の帳簿上の仕訳
(仕訳)(普通預金)1,620円 / (売上)1,620円
② キックバック分全額を外注費として計上した時の帳簿上の仕訳
(仕訳)(外注費) 540円 / (現金) 540円
③ 不正加担したことによる帳簿上のS社の利益
(1,620円-1,080円)-540円= 0円
 
上記のような取引があると、税務上はそれを正当な状態に直すことになります。
どのようにするのかというと、上乗せ分の売上げ540円が過大に計上されているので同額を減額する(所得金額を減らすということです)ことになりますが、外注費540円が架空に計上されているので、これまた同額を減額する(所得金額を増やすということです)ことになることから、それらを差引すると結局所得金額に変更がないことになるので、税務上は何も処理をしないのと同じことになります。

この取引においてS社は1円も儲かってないので、一見何のメリットもないように見えますが、不正取引に協力した後には不正加担先からそれなりの仕事を受注することができるので、充分メリットがある訳です。

⑵ 不正加担料控除方式

次のように、正当な工事売上1,080円に上乗せ分540円を含めた1,620円(1080円+540円=1,620円)を工事売上げとして計上して、上乗せ分の工事売上540円から自分の取り分である不正加担料108円を差し引いた金額432円を不正依頼してきた会社の社長にキックバックするために、預金から引き出して外注費として432円を架空計上した時の『帳簿上の仕訳』は、①と②のとおりとなります。

【前提となる収入及び支出】
ア. 正当な工事売上   :「1,080円」
イ. 水増し分工事売上  : 「 540円」
ウ. 架空(嘘)の外注費 : 「 432円」
   内 キックバック分 : 「 432円」
   内 不正加担料分  : 「  0円」
エ. 不正加担料収入   : 「 108円」

① 上乗せ分を含んだ売上げ代金が振込送金されてきた時の帳簿上の仕訳
(仕訳) (普通預金)1,620円 / (売上)1,620円
② 不正加担料108円を差し引いたキックバック額を外注費として計上した時の帳簿上の仕訳
(仕訳) (外注費) 432円 / (現金) 432円
③ 不正加担したことによる帳簿上のS社の利益
(1,620円-1,080円)-432円= 108円

上記のような取引があると、税務上はそれを正当な状態に直すことになります。
どのようにするのかというと、上乗せ分の売上げ540円が過大に計上されているので同額を減額する(所得金額を減らすということです。)ことになりますが、外注費432円が架空に計上されているので、これまた同額を減額する(所得金額を増やすということです。)とともに、S社の雑収入108円(受領した不正加担料相当額という利益のことです。)を発生させる(所得金額を増やすということです。)ことになります。

税務上、この取引でS社は所得(利益のようなものです。)108円(受領した不正加担料のことです。)を得ていることになりますが、帳簿上もこの不正加担料として受領した108円が上記の仕訳を通して利益に含まれています。

つまり、帳簿上も利益に計上され、税務上も所得金額にプラスされて既に課税済となっている訳ですから、この場合にも税務上は何の処理も必要ありません。
なお、この不正加担料とは、架空の取引を正規の帳簿に記載してしまうことに対するいわゆる「帳簿汚し代」とでも言えばいいのでしょうか。
S社の乙社長が経理処理したのがこの方式でした。

⑶ 簿外不正加担料受領方式

次のように、正当な工事売上1,080円に上乗せ分540円を含めた1,620円(1080円+540円=1,620円)を工事売上げとして計上して、上乗せ分の工事売上540円と同額の540円を外注費として計上するとともに、540円全額を預金から引き出して不正依頼してきた会社に持参し、その540円を不正依頼してきた会社の社長にキックバックしたところ、540円のうち108円を不正加担料として手渡され帳簿に計上することなく受領してしまった時の『帳簿上の仕訳』は、①と②のとおりとなります。

【前提となる収入及び支出】
ア. 正当な工事売上   :「1,080円」
イ. 水増し分工事売上  : 「 540円」
ウ. 架空(嘘)の外注費 : 「 540円」
   内 キックバック分 : 「 432円」
   内 不正加担料分  : 「 108円」
エ. 不正加担料収入   : 「 108円」

① 上乗せ分を含んだ売上げ代金が振込送金されてきた時の帳簿上の仕訳
(仕訳) (普通預金)1,620円 / (売上)1,620円
② キックバック額432円と不正加担料108円の合計額540円を外注費として計上した時の帳簿上の仕訳
(仕訳) (外注費) 540円 / (現金) 540円
③ 不正加担したことによる帳簿上のS社の利益
(1,620円-1,080円)-540円)=  0円

上記のような取引があると、税務上はそれを正当な状態に直すことになります。どのようにするのかというと、上乗せ分の売上げ540円が過大に計上さられているので同額を減額する(所得金額を減らすということです。)ことになりますが、外注費540円が架空に計上されているのでこれまた同額を減額する(所得金額を増やすということです。)ことになることから、それらを差引すると所得金額に変更がないように見えます。

しかし、不正依頼してきた会社の社長から108円を不正加担料として手渡されたにもかかわらず帳簿に計上することなく受領してしまった訳ですから、

(税務上の仕訳)
(社長貸付金) 108円 / (雑収入計上漏れ) 108円

又は(役員給与)という『税務上の仕訳』を行う必要があり、結果的に雑収入の計上漏れ108円を是正するために修正申告書を提出することになります。
              
担当 田中 俊夫

つづく

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